日本初の新元素「ジャポニウム」とは?ロシア、アメリカも既に発見していた?
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科学
理化学研究所によれば、原子番号113番となる新元素が国際的に認定される見通しとなったことが明らかになりました。
この新元素の名前は日本にちなんで「ジャポニウム」になるとされ、関係機関の承認を得て決定するとのこと。
この新元素「ジャポニウム」とはどんな元素なのでしょう?
ロシア、アメリカも既に発見していたとのことですが、なぜ日本の発見が認められたのでしょう?
今回はこれらのことについて詳しくまとめてみました。
新元素「ジャポニウム」とは?
新元素となる「ジャポニウム」は原子番号113番の元素となります。
仮名では「ウンウントリウム」と呼ばれ、元素記号は「Unt」(こちらも仮の名称)と表されていました。
新元素の名称と元素記号を提案する権利は発見チームに与えられるため、発見した日本の理化学研究所のチームが日本にちなんでこの新元素を「ジャポニウム」と命名し、元素記号は「Jp」になる予定であるとのこと。
自然界には92番のウラン以降は存在しないとされ、それ以降は人工的合成して発見されます。
今回の新元素も人工的に合成して作られたもので、加速器を使って30番の亜鉛を83番のビスマスに高速で衝突させ、核融合反応により113番の元素合成したとのこと。
なお、この新元素の名称はジャポニウムの他に「リケニウム(理研にちなんで)」や「ユカワニウム(日本人初のノーベル賞受賞者湯川秀樹にちなんで)」、「ワコニウム(研究所がある埼玉県和光市にちなんで)」、「ニシナニウム(物理学者仁科芳雄にちなんで)」などの候補が上がっています。
なぜ日本の発見が認められた?
この新元素は実は日本よりもロシア、アメリカが少し早く発見していました。
発見の過程は以下の通りです。
2004年2月、露ドゥブナ合同原子核研究所と米ローレンス・リバモア国立研究所の合同研究チームが、アルファ崩壊の過程で0.48秒間の観測したと発表されましたが、命名権が認められませんでした。
そして2004年9月28日、理化学研究所の森田浩介博士らのグループが、線形加速器を用いて亜鉛とビスマスからの元素合成に成功したことを発表しました。
その後、2012年9月27日、理化学研究所は3個目の合成を発表し、高い信頼性を持ってウンウントリウムであることを確認できました。その結果、理化学研究所の発見が認定される見通しとなりました。
ロシア、アメリカチームは理研より作った個数が圧倒的に多かったのですが、113番元素であることの裏付けが不十分と判断されたとみられています。
理研への命名権は国際学術機関により、来年1月にも決定する見込みとのことです。
もし、これが認められればロシアとアメリカ共同研究チームを退けて認定されたことになり、科学史に残る大きな成果となるとも言われています。
新元素の発見が認められるのは日本初であるだけでなく、アジアとしても初なので、決定すれば本当に大快挙ということになります。
これは期待大ですね^_^
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